ユニリーバ・ジャパンのRPA導入事例から見るRPAの可能性



ユニリーバ・ジャパンのRPA導入事例から見るRPAの可能性

ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング(以下:同社とする)はRPAをうまく活用し、業務の自動化に成功しています。RPAを導入している企業は増えてきていますが、同社は自動化の例として非常に参考になると思いますので、ご紹介していきたいと思います。

ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングの内野慧太氏がめざしたもの

同社の内野慧太氏は「リアルとネットを組み合わせることにより、顧客に対して最適な購買体験を提供するための基盤ができた」と述べています。同社といえば食品および日用品の大手である、英蘭ユニリーバの日本法人であり、日本におけるマーケティング業や営業をになっています。内野氏が述べた「基盤」というのは、同社の商品を販売しているAmazonなどの外部のECサイトを比較するサービスである「ベストストアファインダー」のことです。

ベストストアファインダーとは、同社が提供しているサービスのことで、Amazonや楽天などといったECサイトで販売している同社の商品の情報をまとめて確認できるというものです。掲載している情報は各ECサイトごとの「価格」「在庫の有無」「獲得できるポイント」など、顧客が必要とする情報がそろっています。また、各ECサイトの商品購入ページにも飛べるようになっており、とても便利なサービスです。

この便利なサービスを支えているのが「RPA」です。同社は外部のECサイトから商品の情報を集めて構築し、自社のサービスサイトに表示させる、という業務を自動化しました。「ベストストアファインダーはRPAがあってこそ実現することができた」とも強く述べています。人の手では集めることが困難な膨大な商品データを、毎朝決まった時間に自動で正確に収集できるようになったのが1番の要因だといいます。商品データを集める手順は、人の手でおこなう作業と変わらず、パソコンを操作して1件1件データを検索およびコピーするという流れです。1つ1つの工程は非常に簡単ですが、先述したように膨大な量がありますので、この業務を自動化したのは正解だったでしょう。

今回の自動化にはAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)は使用しておらず、ECサイトのデータベースからデータを抜いているわけでもありません。先述した一連の作業を毎朝決まった時間に、ECサイトの数と商品数だけ繰り返しています。その数はおよそ数千件にもおよぶそうです。

ベストストアファインダーは直接の販売促進だけではなく、同社のデジタルマーケティングを推進するエンジンの役割もはたしています。例えば写真共有SNSの「Instagram」の利用者向けキャンペーンなどを通じて、購入者に購入した商品の写真をSNSに投稿するように促したりなどです。その投稿を見た消費者が同社のサイトに訪れ、正しい商品の情報を確認し、ECサイトや店頭で購入して、SNSに投稿する。このサイクルを円滑に回すためにベストストアファインダーは欠かせない存在なのです。

日本企業の間でRPAが急速に脚光を浴びつつある現実

RPAの導入支援コンサルティングなどを手掛ける、アクセンチュアの田畑紀和マネジング・ディレクターは「2016年の夏以降、RPAに対する企業からの問い合わせの件数が急増した。2ヶ月で倍増のペースである」と述べています。RPAの業務自動化について先行して目をつけたのは、銀行や保険、証券などの金融機関でした。その中で、NTTデータの山本英生金融事業推進部技術戦略推進部技術戦略企画担当部長は「国内すべての金融機関がRPAの導入を検討しているような感覚だ」と述べています。また、2017年に入ってからは製造業やサービス業などのさまざまな業種でRPA導入が進むと予想されます。

RPAはロボットではありますが、産業機械や人型ロボットではないということはすでにご存知かと思います。人間のパソコン操作を記録して、それをそのまま再現するソフトウェアの仮想的なロボットを利用します。専用のソフトのRPAツールを使用して、ソフトロボットを作成したり管理をしたりなどします。今回の同社による自動化の例のように、ルールに基づく定型業務を自動化したりなど、活躍の場は多いでしょう。

RPAという言葉が日本で広まり始めたのはつい最近のこと

RPAが日本で広まり始めたのは2016年とつい最近のことです。「ホワイトカラーの生産性向上」の議論の加熱や「働き方改革」が広まるにつれ、一気に注目されるようになりました。RPAの最大のメリットは「ルーチンワークにおける生産性の向上」です。自動化する業務の内容にもよりますが、人間がパソコンを操作するよりも、処理効率は数倍~数十倍に高まるといわれています。人間ならば、「対象のシステムを開く」「マウスでデータを選択」「コピーのコマンドを選ぶ」などの手順を1つ1つ踏みますが、RPAならばデータやコマンドをシステムが自動的に選択して実行できるからです。

どれだけ単純といえど、企業には欠かせない業務の1つです。同社のベストストアファインダーの更新に占めるデータ収集の時間の割合はおよそ8割であり、「確かに付加価値という点では低いが、不可欠な業務だ」と内野氏は述べています。「さらに収益率を高めるためには、このような単純な業務の生産性を引き上げて、人間が頭を使って考えるクリエイティブな業務の時間を最大化する必要があった」とも内野氏は述べています。

RPAの力が最大限に発揮される業務

ホワイトカラーのルーチンワークは、ITによる業務の自動化が進んでいなかった分野の1つでもあります。PwCの水上ディレクターは「現場の人間ががんばって業務をこなしていく、という日本人独自ともいえるカルチャーに支えられていた」と述べています。RPAに詳しいKPMGコンサルティングの田中淳一パートナーは「RPAを導入することで、業務品質の向上も期待できる」と指摘しています。それは、定型されたルール通りにデータの入力や比較を進めていくので、入力漏れや間違いなどといった、いわゆるヒューマンエラーをなくせるからです。その半面、「判断が必要な作業や例外な処理は苦手である」とも田中淳一パートナーは述べています。

「既存のシステムにテコ入れすることなく、システムの使いこなすレベルを高められる」ことも注目されている理由だとPwCの水上ディレクターは話します。ERP(統合基盤業務システム)を使用する基盤システムからデータを取得および加工して、ほかのシステムに渡す業務ではアドオン(追加開発)を使用するか、派遣社員を雇うなどして、人の手でデータ処理する必要がありました。

RPAを使用すれば、先述のような「システムのつなぎ」の業務を自動化できます。RPAの注目度の高まりを受けて、IT企業は導入支援体制の強化を急いでいます。NTTデータや日立システムズなどのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)大手はRPAを使用した業務受託サービスの拡大をはかっています。人材派遣大手のパソナはRPAテクノロジーズと組み、RPAについての知識やスキルを持つ派遣人材の育成に乗り出すようです。リコージャパンでは、自社内で活用した知見を基盤に、顧客向けのRPA導入支援サービスを開始しました。

RPAは決められたパソコン雑務をしっかりとこなし、膨大な量の作業でも疲れを知らずに黙々と働き続けます。24時間働かせ続けても、不平不満は一切言いません。RPAテクノロジーズの大角社長は「RPAはいわば、デジタル時代の新たな労働力、デジタルレイバーである」と述べています。人手不足や非生産的な業務に悩みを抱えている企業にとって、RPAは即効薬となりえるでしょう。

最後に、RPAの力が最大限に発揮される業務をまとめてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。

■RPAの実態
・定型的な作業を代行する
・ヒューマンエラーがなくなり、業務品質が向上する
・処理速度が飛躍的に上がり、24時間働くので生産性が向上する

■RPAが向いている作業
・膨大な作業
・反復的な作業
・繁閑の差が大きな作業

■作業の具体例
・ネット検索、クローリングといった膨大なデータの取得
・画面上の文字やOCRで読み込んだ文字などのデータ読み取り
・転記や定型欄への書き込みといったデータ入力
・比較や突合などのデータ検証
・会計システムの経費実績データなどをExcelに取り込み
・自社サイト上にあるURLのリンク切れの確認
・ECサイトで自社商品データを検索および一覧化
・予約サイトの予約内容の変更
・乗り換え検索結果と交通費申請の内容を比較する
・会員顧客のパスワードのリセット
・保険契約者の住所変更
・大きさやファイル名などの画像データの形式を一括変換
・顧客の住所をネットで検索し、地図画像をコピーする
・勤務管理システムから長時間残業者を検索する
・発注システムの未検収案件を検索し、担当者にメールを送る
・営業担当者が作成した受注伝票のファイルの転記
・社内のパソコンの初期設定や既定のアプリケーションのインストール
・注文書の様式別に、受注管理システムに転記する
・コールセンターへの問い合わせ件数の集計や内容の転記
・ネット掲示板上の自社に関する書き込みの収集および一覧化
・自社サイトの記事や画像を無断転用されていないかネット上で巡回
・OCRで読み込んだ書類の内容をシステムに入力する

今回のまとめ

今回はユニリーバ・ジャパンの導入事例を中心にお話ししてきましが、いかがでしたか?RPAを用いた自動化の例としては、参考になったかと思います。多くの企業がRPAを導入し、業務を自動化することに成功しています。今後も今回のような事例が報告されることが楽しみです。



LEAVE A REPLY

*
*
* (公開されません)